1995/03/04

最北端へ…5泊6日、宗谷岬への旅 4日目 稚内~函館

平成7年3月1日から6日にかけて、青春18きっぷとオール夜行列車で、冬の北海道・宗谷岬へ出かけました。 ここでは、その旅行記をご紹介します。

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第4日 平成7年3月4日(土)

稚内駅 → ノシャップ岬

早朝の6時00分に稚内に到着、外は非常に寒い。北に向かって歩き、駅前バスターミナルの位置を確認した後、さらに北のフェリーのりばの方へ向かう。堤防に登って海を見ると、細かい流氷が接岸している。この辺りまで流氷が来るのは数年ぶりだそうだ。綺麗な朝日が昇っている(写真)。

市内バスのバス停で始発便を待ち、ノシャップ行きに乗車する。バスには地元の人が数人乗っていただけであったが、ノシャップまでに全員降りてしまって車内は私1人になった。約10分でノシャップのバス停に到着。バス停から5分ほど歩いて、ノシャップ岬に立つ(写真)。朝が早いので誰もいない。海の向こうの利尻や礼文の山々を望むことが出来た。

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稚内駅

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稚内港の朝

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稚内港北防波堤ドーム

ノシャップ岬 → 稚内駅

ノシャップ岬を後にして、再びバス停まで歩く。別の方角から歩いてきたおばさんと合流して、バスに乗る。私たちが乗り込むと、バスはすぐに発車した。どうやら私たちが乗るのを待っていてくれたようだ。頻繁に小学生など地元の人々の乗り降りがあって、稚内駅前に到着。私1人がここで降り、バスターミナルまで歩く。やっぱり寒い。

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ノッシャプ岬

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流氷

稚内駅前ターミナル 8:10 → 9:02 宗谷岬

駅前ターミナルの待合い室で、バスの発車を待つ。宗谷岬までのバス代は、バスの車内で現金払いしようと思っていたが、他の人がみんな切符を買っているので自分も切符を購入してみる。宗谷岬まで往復で買うと、なんと1割引で買うことができ、少し得した。

時間になって、大岬行きのバスに乗車。南駅前からも少し乗ってきて、車内はぴったり満席になった。バスは海沿いを走り、宗谷湾の海から湯気が上がっているのが見える。案内のテープが「次は宗谷です。宗谷岬へは宗谷岬バス停でお降り下さい。」と注意しているにもかかわらず、2人連れの乗客がベルを鳴らし、宗谷バス停で降りようとする。しかし、自分たち以外は誰1人そこで降りようとしないので間違いに気づいたようだ。今度は本当に宗谷岬に着き、全員が降車した。

宗谷岬

今回の旅の目的地である日本最北端の地、宗谷岬に降り立つ(写真)。本当の日本最北端は択捉島であるが、ロシアに占領されているので除外。宗谷岬のさらに北に小さな島が1つあるが、この際はどうでもいい。

日本最北端の地碑に登って写真を撮ったり、碑の後ろに回り込んで、まさに最北端の地に立ったりして、1人で喜ぶ。流氷は引いてしまっていたが、中には残っている流氷に乗っている人もいる。海の向こうを見ると、異国サハリンの山々を望むことができ、初めて見る外国に感動する。宗谷岬には100台分もの駐車場があり、ガイドブックの写真を見ると、夏場には人であふれるようだが、今は冬の早朝ということもあり人も少なく、ゆっくりと観光することができた。

日本最北端の売店で、最北端到達の証明証を発行してもらってバス停へ戻る。スピーカーからは、宗谷岬の歌が延々と鳴り響いていた。

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宗谷岬

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最北端に立つ

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気温は0度

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日本最北端の店

宗谷岬 9:30 → 10:25 稚内駅前ターミナル

宗谷岬からバスに乗って、稚内駅に戻る。途中、地元の少し乗ってきたりして、車内は立つ人も出るほど満員になった。隣の席に座った地元のおばあさんの話では、流氷は昨日までびっしりと海を覆っていたが、今日は風向きが変わって引いてしまったらしく、かなり残念。稚内駅構内の立ち食いそばを食べて、列車を待つ。

稚内 10:48 → 14:13 名寄

稚内から名寄行きのワンマンカーに乗る。1両編成であるが、車内はガラガラである。車内には、沿線市町村の広報誌が置いてある。しばらくして右手に海が見えてきて、海の向こうの大きな利尻富士(利尻島)を見ることができるようになる。利尻富士は、雪が積もっていて、とても美しく見える(写真)。ここから見る利尻富士が最高と思ったその瞬間、線路沿いに「利尻富士」と書いた標識が立っていた。

今日は雲ひとつない快晴で、車内はとても暑い。雪の大地は太陽に照らされて、まさに一面の銀世界になっている。雪の上には人間の足跡や車の趾はまったく見えず、見えるのはキタキツネの足跡だけである。キツネが顔を見せるのではないかと期待していたが、残念ながらそれは見ることはできなかった。

車窓から見える天塩川はほとんど凍り付いて雪が積もっていて、所々に水が見えるだけである。美深で数人乗ってきたが、他はほとんど乗り降りがなく、終点の名寄に到着した。

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利尻富士

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名寄駅

名寄 16:00 → 18:58 深川

名寄から廃止間近の深名線に乗車する。乗客の9割以上が鉄道ファンで、1両編成の座席の半分が埋まった。地元の人はほとんどいないが、車掌は乗務している。今朝、稚内のバスターミナルで見たテレビでは、深名線廃止後の転換バス試乗会のニュースをしていた。もう深名線に乗ることは一生ないだろう。手塩弥生を過ぎて上り坂になり、列車のスピードは一気に落ちた。ゆっくりと列車は山を登っていく。線路は山の中に敷かれていて、どの窓から見ても道は人家はまったく見えない。良くこんな所に鉄道を通したものだ。

上り坂も終わって列車のスピードも上がり、ようやく道路が見えてきて、北母子里に着く。列車は朱鞠内湖の湖岸を走っていく。しかし、湖は完全に凍り付いて雪が積もり、木が生えていないので湖であるということが分かる程度である(写真)。次の駅の湖畔までの間には以前、白樺、蕗ノ台という2つの駅があったらしいが、今は廃止されている。列車は、この2駅の跡で徐行してくれた。なかなか気の利いた運転手である。この2駅には、小さな駅舎がまだそのまま残っていた。

朱鞠内では、たくさん鉄道マニアのカメラが出迎えてくれ、対向列車が駅で待っていた。添牛内駅では、ホームに1メートルほど雪が積もっていて、列車への乗車口の部分だけ雪をよけてあり、まるで切り通しのようになっている。辺りはもう真っ暗。幌加内で対向列車に乗り換えるのか、数人の鉄道ファンが降車した。

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雪に埋もれた朱鞠内湖

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朱鞠内駅

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朱鞠内駅で行き違いをするディーゼルカー

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のこせ!安全な深名線=深川駅前にて

深川 19:19 → 19:31 滝川

深川から滝川までの1区間だけ、特急スーパーホワイトアロー24号に乗車する。深名線で一緒だった鉄道ファンも、数人がこれに乗った。後ろの車両の自由席は混んでいたが、指定席車で一部が自由席となっている1号車はガラガラだったので、そこの自由席に乗る。直線区間を10分ほど乗って、すぐに降りる。

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特急スーパーホワイトアロー

滝川 19:41 → 21:41 札幌

滝川で、ホームの向かいに停車中の札幌行きの鈍行に乗り換える。4両編成のうち、後ろ2両は回送車で乗車できないが、座席はすいている。車内は普通のクロスシートが並んでいるタイプだが、関空快速のように座席は1列と2列の配置で、左側は座席の幅が半分しかない。車掌が特急から乗り換えるのを見ていたようで、特急券と乗車券を見に来た。どうやら、たまに特急の切符をちょろまかす鉄道ファンがいるらしい。

札幌(その2)

札幌に到着、次の列車までまだ時間があるので夜の札幌を散策する。まずは、北海道大学へ向かうが、道中で2回連続で転ぶ。これで、昨日の小樽と合わせて3回転んだことになる。北海道の人は、転んだりはしないのだろうか。クラーク博士像の前で写真を撮る。隣には学生が作ったらしいわら人形が並んであった。村山首相も食べたというラーメン屋でしょうゆラーメンを食べ、夜の時計台を見に行く。

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少年よ大志を抱け

札幌 23:30 → 6:30 函館

札幌からは再び、快速ミッドナイト号のカーペット車に乗車する。ミッドナイト号のカーペット車になれた男性がいて、いろいろ周りの人にアドバイスしているが、うるさがられているようだ。列車が発車したが、カーペット車にまだ場所が少し余っている。カーペット車の指定券はすべて売り切れだが、乗らなかった客もいるようだ。世話好きな車掌が座席車から数人乗客を連れてきた。

車掌が検札に来て、千歳までの切符と青春18切符で乗ろうとしていた少年が、車掌にこの切符では乗れないと、間違いを指摘されている。前に乗ったときはこの切符で良かったという。青春18切符は0時を過ぎて次に停車する駅までが有効範囲で、終着の函館まで止まらないこの列車に乗るには、札幌発の日付の入っている青春18切符がなければならない。どうやら彼は、途中駅にも止まる多客時のダイヤと勘違いしたらしい。結局この少年は、青春18切符を1枚無駄にすることになった。

横になって眠りにつく。両隣からのいびきで一度起こされるがすぐに熟睡、気がつくと外はもう明るく、函館の1つ手前の駅である五稜郭を過ぎていた。すぐに函館に到着する。

5日目に続く

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